ヤギ飼いの方などのために
FAQコーナーを設けました
このコーナーの基礎になっているのは
家畜改良センタ長野支場で受講した人工授精師の講座や実習です
また 一緒に受講した研修生とのネットワークや
当園に近隣するヤギ飼い先輩の方々から得た知見もあります
全国山羊ネットワークや教本などからの知識もあります
ただ ここに記載することは
基本的にすべて実践し 経験した裏づけのあるものです。
最近の里親さんには 初めてヤギを飼う方が多く
それは喜ばしいことですが
中には 強い思いだけで引き取り 結局 手におえなくなって帰ってきた仔もいること
少しの知識と注意で防げる事故が発生してしまった という連絡を何度かいただいたことがあります
浅い知識と経験に基づいていますし
そもそも 正しい答えがないものもあります
鵜呑みにせず 咀嚼していくべき情報のひとつになれば 幸いです
補足や異なるアイデア 知見をお持ちの方の意見も 反映していきたいと思います
また 追加の質問も受けつけます
こちらにお寄せください
三つ、とひとつ、揚げます。私見ですが、とても大事なことです。
ひとつは、愛玩のために飼うのであっても、ヤギは社会的には「家畜」であり、つまり家畜の飼養者になるということへの自覚です。
もうひとつは、ご自身の暮らしの中でヤギの存在をどこにどのように位置づけるか、という芯をきちんと持つ、ということです。
最後は、飼うことは「観察」すること、ということです。
もうひとつ、加えさせてください。それは「責任をもって飼うための最低限の知識を得て」くださいということです。愛情をもって大切に育てている方でも、知識不足のために不用意な事故を招いてしまうことがかなりあります。
家畜の飼養者と云うと大げさに聞こえますが、最低限の知識と自覚はお持ちになってください。
ヤギは、牛、豚、馬、めん羊とともに「家畜」です。それが、イヌやネコと大きく違う点です。飼養衛生管理基準、飼料安全法、家畜排せつ物法、家畜伝染病予防法、動物取扱業、家畜商法の対象になります。
例えば、市町村、または家畜保健所に飼育状況を定期報告しなければいけません、
例えば、家畜伝染病予防法。ヤギを通じた重要伝染病の発生もあり得ます。もし、口蹄疫が発生したら近隣の牛/豚などの畜産業へ深刻な被害をもたらします。
例えば、飼料安全法。A飼料以外は給与してはいけません。BSEの発生を防止するためヤギに動物性たんぱく質などを含む飼料給与が禁止されています。ペットフード、人の残飯を与えることも法律で禁止されています。
一言で云えば、反芻する草食動物であるヤギの生態を勉強して理解し、無用な病気をさせないよう清潔に、健康に飼ってください、ということです。
もうひとつ大事なことは、「あなたは、なぜ?ヤギを飼いたいの?」ということを、5H2Wで整理することです。
つまり、
①Why なぜ?ヤギ?
②What なにをしたい?望むことは?
③When いつから?
④Who 誰から?誰の?
⑤Where どこで?
⑥How どうやって?
⑦How much どれくらいの費用をかけるの?
ということを、飼い始める前に、自問自答しながら書き出しましょう。そして、毎年必ず振り返りましょう。
コンパニオンの存在とする方も、乳利用など、産業動物の位置づけにされる方もいます。その中間という方も多くいらっしゃいます。自分(たち)の生活の中で、ヤギはどういう存在である(べき)か、ということをきちんととらえる、ということが非常に大事です。
この5W2H、私も毎年、自問自答しています。
私自身の暮らしの環境や年齢、ヤギを飼うことによって養われる経験や知識などなどによって、自分とヤギとの関係に変化がおこるからです。そして、その変化を受け止めながら、最適なかたちをつくるために、毎年のように考え直す必要が大なり小なり出てくるのです。
始めてヤギを飼う方は、ヤギとの暮らしに理想のイメージをもって臨みます。実際に飼って、ヤギとの生活が現実的なものになれば、当然、そのイメージは変わってきます。要はそのとき、そのときに最善を尽くして変化していけば良いのです。それも楽しんでください。
最後は「観察」です。
ヤギや丈夫で粗食に耐える動物と云われ、なるほどその通りですが、体調の変化を外に出さない、積極的にアピールしないという側面もあります。
日頃から関心を持って観察すれば、ささいな変化を「感じられる」ようになります。飼い主が敏感に変化を捉えられたら、知識や経験が薄くても、獣医や先輩飼養者にエスカレーションすることで、さまざまなサポートを得ることができます。逆に、飼い主が無関心であれば、本当に悪くなるまで気づかず、手遅れになることもあります。
ヤギへの愛情とは、可愛がることだけでなく、むしろ観察することなんだろうな、と思っています。どうぞ、良く観察し、感じてあげてください。
観察のベースとなるものとして、ヤギの生理や行動などに関する最低限の知識が必要です。
ヤギ飼い歴が相応にあるためか、ヤギの仲間から「様子が変なのだが」と訊かれることがままあります。鼓腸症、異物の誤飲や中毒、腰麻痺、寄生虫、そしてつなぎ飼いの不具合といったものが多いように感じます。
誤解される言い方になるかも知れませんが、私自身はこのような病変や事故を一度も経験していないので、実は良く分かりません。
私たち飼い主側に分かること、できることは、これらを発生させない飼い方であり、予防です。異常を感じたら、素人判断せず、獣医にお願いするしかないと思います。
知識のないままヤギを飼い出す ⇒ 知識のないままヤギを飼い続ける ⇒ 環境づくりや予防も特にしない ⇒ 事故に遭ったり、病気になったりする ⇒ 慌てて(獣医などに)相談する ⇒ 残念なことに手遅れになる
こういう方が非常に多いのが現実です。せっかく待ち望んでいたヤギを迎え、大切に育てていたのに、とても不幸なことです。
そうならないためにも、是非、このFAQを一読ください。
ヤギ飼いの冥利を言葉で表すのは難しく、飼ってみなければわかりません。
いろいろあるなかで、ひとつだけ取り上げます。
私とヤギとは、飼うモノと飼われるモノという立場にあります。
ヤギと草とでは、食べるモノと食べられるモノという関係になります。
それは対極的で、大きな違いと云えます。
ただ、若葉の山に入って、ヤギと散策しながら、燦燦と春の穏やかな陽光を浴び、彼女たちの食事につきあっていると、ああ、私たちは、所詮、太陽の子どもなのだと気づきます。みな、太陽系の地球という星に息づく小さな生命体なのです。
人間も、ヤギも、草も、そういう視点でみれば、どれもみな同じようなもので、その違いは誤差のほどのものでもないと感じるようになります。巨視感、あるいは巨視力というものが生れるのです。
そのとき、あくせくしたり、くよくよしたり、そういう懊悩から、しばし解き放されます。
これはイヌやネコとのつきあいでは生れない心境であり、私にとってかけがけのない時間となっています。
ヤギの飼養頭数は、日本では2018年時点で3万頭ほど(世界では10億頭)と言われています。この5年で5割ほど増えています。チーズ生産などに活躍する若手の農家さんもいますが「癒やし」をい求めて個人飼養する層が下支えしている気がします。
https://www.maff.go.jp/j/chikusan/kikaku/lin/attach/pdf/sonota-31.pdf
たいへんなこともいろいろあります。
現実的には「時間を制約」されることが一番でしょう。
毎朝・毎夕の世話があるので、どこに出かけることもできません。
ヤギという命を預かるわけですから、それは承知の上で飼い始めるのですが、始めることもそうですが、「続ける」ことはなかなか大変なものです。
命ですから、それが失われたり、別れるときもあります。
私はミルクをとっているので、毎春繁殖させます。産まれた子ヤギは3ヶ月ほどで里親さんのところに行きます。そのときどきの事情で一概には断定できませんが、特にオスの子ヤギはどうしても引き取り手がみつからないときがあり、その場合は家畜商の方にお渡しします。幸福を約束できる別れ方ではないので、正直、これがもっともつらいです。
それもこれも全部ひっくるめて背負うのが飼い主の責任ですし、それを担うときに得られる清濁のすべてがヤギ飼いの冥利なのだろうと考えております。
ヤギは、丈夫で粗食にも耐える動物です。
庭の花や木に例えると、それほどの手間をかけなくとも、花を咲かせ、実をつける種であると言えます。ただ、良い土をつくり、適切に施肥し、剪定などを行ったものに、立派な花やおおぶりで甘い実がなるように、良く飼おうと思えば、相応の手間がかかります。
飼養環境にも大きく影響されます。飼養の頭数や目的によっても変わります。繁殖させず、広く柵に囲われた放牧場があって、湧水もあり、適度な広さの小屋があれば、手間をかけずに飼うことができそうです。
当園は、そういう環境条件ではなく、仔をとっており、レストランに併設した立地でもあるため、衛生には人一倍気を配り、毎朝・毎夕、一日に数時間は世話の時間を費やします。それは、雨風や吹雪に関わらず、年に一日も欠かさない作業です。
どのようにヤギとつきあっていきたいか、という思いと、どれだけヤギにつきあっていけるか、という現実とのバランスが大切です。時間の余裕のない方が、不十分な環境で多頭飼いすると、衛生や栄養管理などが崩れ、不幸なことになるばかりか、周囲に迷惑をかけてしまいます。
ヤギを飼う理想的な環境をお持ちの方は多くはいませんので、例えば湧水がなければ、毎日、桶の水を交換することになります。放牧場があっても、雪国であれば冬場の干し草を確保しなければいけません。
水を交換することや、干し草を用意することは手間のかかることです。手間をかけると、その分、ヤギたちと一緒に居る時間が生じ、そこに観察があったり、コミュニケーションができたりします。手間をかけて、時間をかけ、自分がヤギを飼っているのか、ヤギに飼われているのか、ときどき判らなくなります、しかし、実はそれが楽しいひとときである、それがヤギ飼いの冥利なのかも知れません。
ヤギは、一日あたり3~4㎡の、重量で言うと5kgほどの草を食べると云われます。
ヤギを荒地に放ちますと、数ヶ月で風景は一変してきます。リードによる繋留飼いでも同様で、毎日、杭の位置をかえていけば、その範囲で除草が進んでいきます。広い放牧地では、自分の好きなものを選んで食草するので、ややムラが生じるようです。狭いエリアを転々とさせた方が効果が高いそうです。
問題は、除草したい場所が、このようにヤギを自由に放せたり、繋留に支障のない環境であるか、ということです。例えば、庭木や果樹、野菜などが植えられているエリアでは、そこの雑草だけを食べてくれる、という都合の良いことにはなりません。繋留飼いでは、行動範囲の雑木や株などをきれいに整理しないとリードがからんで危険です。
当園では、花木や果樹、野菜のある農園は、人手で草取りしています。ヤギの放牧地は確保していますが、町所有の山野地を借用しています。つまり、ヤギに青草を食べさせるために、お金を払って土地を借り、その(他人の)土地は除草されるが、自分の土地の雑草は自分が刈っている、という本末転倒なことになっています。
また、秋田という土地柄、晩秋から春先までは干し草です。青草を食べさせられる期間は、年で6ヶ月に至りません。
ヤギの除草効果は高いが、ヤギの生態にマッチングする土地や環境であることが条件になります。耕作放棄地や林野地での放牧が可能な方には絶大な味方になるでしょう。
雨風をしのぐ小屋と採草地があれば、スタートできます。
・家となる小屋
・その敷料(床に敷く稲わらやモミガラ、オガクズなど)やスノコ
・首輪、ブラシ、リード
・水桶
・塩(鉱塩)
・杭とチェーン、あるいは牧柵
・青草、あるいは乾草
があれば、良いでしょう。
ヤギの飼養は、衛生と栄養と運動を中心に考えれば良いと思います。
イヌやネコを違ってトイレのしつけができない(中には行っている方もいるようですが、生理的に難しいことは確かでしょう)ので、衛生管理を特に大事にしています。
具体的に当園で日常どのような世話をしているかと言えば、
・小屋床の糞の除去
・パドック内の糞の除去
・落ちこぼれた干し草の処理
・搾乳
・餌やり(配合飼料)
・乾草やり
・水やり
・放牧
・ブラッシング、健康チェック
となり、毎朝夕、数時間を要して行っています。
人によって、時間の拘束があったり、飼養環境もいろいろなので、それぞれの事情に合わせたやり方を工夫して行うことが大事だと思います。
<(上)フン掃除の前後とフン取りカゴ、(下)水槽、フン溜めカゴ、清掃後のパドック>
※フン溜めカゴに溜まったフンは、堆肥場に持ち込み、一年ほどかけて完熟させます。
いえ、そんなことはありません。ヤギに関われる時間に制限があるならば、その制限の中でできること、しなければならないことを考え、それに必要な環境をつくりこむ工夫と準備をすれば良いわけです。
例えば、稲わらの下にスノコを敷けば、フンは稲わらに紛れてヤギの体に直に接することが少なくなり、おしっこは下にくぐっていきます。適宜、稲わらを追加し、週末など、時間があるときに、まとめて清掃すれば十分衛生を保つことができる筈です。
バイオベッドにし、年に一度しか敷料を交換しなくて済むようにしている方もおります。
飼う目的や規模、環境(地域、地勢、広さ)により、さまざまな対応のバリエーションが考えられます。
そういう意味でも、Q001の5W2Hによる、あらかじめのシミュレーションが大事に思えます。
なお、時間がなかなかとれなくとも、数十分で構わないので、毎日、ヤギたちの様子を「観察」してあげてください。なにか変わったことがないかどうか、を早めに汲み取っていくことが非常に重要。ヤギ飼いの第一歩です。
・削蹄(♀は3ヶ月、♂は2ヶ月ごと)
・小屋の敷料の交換と床の水洗い、消毒(季節によるが3週間~1ヵ月おき)
・駆虫(1-2ヶ月おき)
・鉱塩交換(適宜)
・乾草の補充
くらいでしょうか。
書き出してみるとこの程度ですが、配合飼料や乾草を手配したり、ハエや蚊の対策をしたり、という作業があります。
敷料も汚れのひどい箇所は、気づいた都度、部分的に除去して敷き直します。
繁殖を行うのであれば、更に、発情のチェックや人工授精、あるいは種オスの手配、出産介助、除角や去勢、場合によっては人工哺乳などの仕事が生じます。
小屋や牧柵の修復や改良も出てきますし、夏場の暑い盛りには、水浴びを兼ねてシャンプーもしてあげたくなるし、日常のルーチンワーク以外にも、なにかとやることはいつでもある、という感じです。
春:出産のシーズンです。
その準備から出産の介助、そして仔ヤギが離乳して、里子に出ていくまでが、一年でいちばん慌ただしく、また、楽しい時期になります。
冬毛が抜けおちる換毛期です。
春先からは、青草も伸びてきますので、放牧が始まります。
夏:離乳の頃から日に2回の搾乳を行います。たくさん青草を食べ、たくさんのミルクを出してもらいます。
蚊が出てくる季節ですので、小屋の窓を網戸にし、腰麻痺を予防する駆虫を施します。
梅雨の湿りや真夏の暑さには弱いため、とくに通気や衛生に気をつけて育てます。
風のない灼熱の夏日などは、パドック内にスプリンクラーで散水したりして、暑さをしのぐようにしています。
秋:暑熱もやわらいで、ヤギにも過ごしやすい季節です。
青草を惜しむかのように食べ、枯葉なども好みます。
発情がやってきます。翌春に向けた準備がもう始まるわけです。
晩秋には、野の草もほとんどなくなり、乾草に切り替えることになります。
冬:比較的寒さには強い方なので、暖房などで保温する必要はありませんが、雪の季節は、ヤギにとっても閉じこもりがちなシーズンになります。
出産の2-3ヶ月前には「乾乳」と言って、お乳を止めます。体をじゅうぶん休ませる大事な時期になります。
ヤギの寿命は、10-15歳と云われています。
成長が早い動物で、生後4ヶ月ほどで性成熟を迎えます。2歳ほどで成長が止まり、10歳令で繁殖年齢を終えます。
終生飼養する方も増えており、老齢になりますといろいろ手のかかることもありますが、長年つれ添ってきた人間とヤギの関係は素敵なものです。
欧州には、アニマルウェルフェア(Animal Welfare)という価値観があります。“感受性を持つ生き物としての家畜”に心を寄り添わせ、誕生から死を迎えるまでの間、ストレスをできる限り少なく、行動要求が満たされた、健康的な生活ができる飼育方法をめざす畜産のあり方のことです。日本では「動物福祉」や「家畜福祉」と訳されおり、普遍化して欲しいものと思っています。
最寄りの家畜保健所に相談すれば、家保つきの産業医の方を紹介してくれます。ただ、その獣医の方が遠方であったりしますと、なにかあった場合、手配やかけつけに時間を要することがあります。
ヤギは胃を4つ持つ反芻動物的で、その飼い方や病理は牛が参考になります。近所の牛飼いさんに、かかりつけの獣医を紹介してもらう手があります。当園では、隣町の動物病院の獣医がヤギを診ることもできるので、その方にお願いしています。また、その獣医師から、出張専門の獣医の方を紹介いただき、その方とも連動して、必要な場合の診察を願いしております。
ご近所にヤギを既に飼っている方がいらっしゃれば、その方の経験をうかがうことも参考になります。市井で継がれた知恵や工夫には、本などでは得られないものがあります。ただ、病気に関しては、専門家に委ねて治療のタイミングを逸しないことが大事だと思います。
常備薬は、そのようにかかりつけの獣医がいるので、多くは用意していません。乳房炎などの治療薬も一時期は持っておりましたが、そもそも一度もかかったこともなく、更新していません。捻挫などした場合の消炎剤・カンメルパスタも効用が薄らいでいくので、人間用の湿布薬で代替した方が良いと考えています。
駆虫剤:エプリネックス トピカル
消毒薬:動物用赤チン
胃腸薬:ビオスリー(ボビノン)
それに伸縮の包帯を常備しています。これらは、獣医の方経由で取り寄せています。
衛生や栄養をきちんと管理し、適度な運動をさせる、という日常の積み重ねがあれば、めったに病気にはしませんが、定期的な駆虫による予防は大事です。近交退化などによる虚弱化も原因にあります。ヤギを求める際に血統などを良く確認され、壮健な個体を選んでください。
日頃の観察があれば、ちょっとした異変にすぐ気づきます。1-2日間、様子を見て、良くならないようなら獣医に来ていただきます。ほとんどは自力で回復しますので、診察で獣医に来ていただくことは数年に一度です。もっとも、状態によっては、一刻も早い処置が求められます。その見極めは難しいので、そのためにも、気軽に相談でき、すぐに駆けつけてくれる医師の方をみつけることは、とても大事なことです。
ヤギを入手する方法として考えられるのは
① 公的機関での入札(家畜改良センター長野支場)
② ヤギを扱っている牧場からの購入
③ 知り合いや里親募集
④ セリ
があげられます。
① 純粋種の日本ザーネンを、育種改良素材として配布しています。毎年8月下旬から10月上旬にかけて入札制で行います。ただし、ペット用、除草用など畜産以外の用途の配布はしません。当園の日本ザーネン種のルーツはここです。
② 各地で仔ヤギの譲渡を行っている牧場があります。ネットで調べられます。
③ ヤギの里親募集サイトがあり、また、SNSでグループをつくって里親募集などの情報交換をしています。個人レベルで活動している方々が主になります。
④ 下伊那山羊市場 長野県下伊那 7月頃 ザーネン種の仔ヤギ中心
群馬県畜産共進会 渋川市 9月頃 サーネン種の仔ヤギ中心
愛知県子山羊品評会 豊川市 6月頃 ピグミー種などの多種が出品
②、③のルートで探す場合は、なんどかやりとりを繰り返し、両親の健康状態や血統(近親交配の形跡など)、飼育環境などを確認し、信頼関係を築くことが大事です。当園のアルパイン系の黒ヤギは、ヤギの掲示板サイトで知り合った方とかなりの回数をやりとりし、2年越しで希望が叶い譲渡していただきました。
家畜商から「去勢しているので雄ヤギでも飼いやすい」と云われて、安価で譲り受けたが、去勢したとしても雄は体も大きく、除角もしておらず、力が強いので、かなりたいへんな思いをした、という方もおります。中には、ペットショップで長く置かれていたものを、見るに見かねて引き取った、という方もいらっしゃいます。一旦、飼い始めると長いつきあいになります。慎重な見極めをお奨めします。
譲渡価格は、こちらを参考してください。年ごとに変動します。
ヤギセリ市場価格
また、こちらには家畜改良センタ長野支場での落札価格が開示されています。
ヤギは濡れることと、暑熱を嫌います。寒さには、かなり耐性があります。
① 1匹あたり1.5坪以上の広さ
② 雨風をしのぎ、強い直射日光と西日を避ける
③ 床の清掃ができる
ものであれば、最低限の条件はクリアされます。餌箱、水桶、鉱塩を置くスペースも確保しましょう。周囲を運動できるパドックで囲むことができると良いでしょう。
湿気が多く、ジメジメした環境は病気を呼びます。通気があって、できるだけ床などが乾燥していることが大事です。
納屋を改良したり、パイプハウスを利用したり、軒下に手づくりする方もいらっしゃいます。人間の住む家同様、ヤギの住まいの快適さも、気候風土や立地環境によって随分違うのだろうと思います。ヤギの気持ちになって、設計してみてはいかがでしょうか。
ヤギ小屋の床に敷く、稲ワラやオガクズ、モミガラなどの総称を敷料と云います。
床には、
①クッション性がある
②滑らない
③乾いていて衛生的
④ヤギの体を傷つけない
ことが大事で、床をコンクリート張りなどしたことによって不足する条件を補ってくれるものです。
その材料として、オガクズ、モミガラ、戻し堆肥、藁、ウッドチップ、コーヒー粕、古紙などがあります。保水性、吸水性が高いことや軽量であること、吸臭効果なども求められ、オガクズとモミガラ、戻し堆肥をブレンドしたものが良いと聞いています。ただ、これは畜産家などの規模のことであって、ヤギを数頭飼いするレベルでは、例えばオガクズを最小ロットで購入できたとしても、その保管場所に困ります。
秋田という土地柄、モミガラは年間を通して、屋内保管のものを、そのときどきに必要な量だけ無償で入手できますので、もっぱらこれを利用しています。敷料としてのモミガラは、吸水性にかけるため、尿をコンクリート床まで通過させ、放っておくとやがて表面まで濡れてきます。そうなる以前に、汚れた部位を小まめに交換し、定期的に全交換して清潔を保っています。クッション性や通気性があるので、これで常に乾燥した快適な床環境を与えてあげられます。
また、コンクリート床とモミガラの間に、EM菌ぼかしを撒いて、雑菌の発生を抑制しています。当園のヤギ小屋を訪れた方は、臭いがまったくしないことに驚かれます。ちなみに毎朝夕には、床の糞をすべて取り除きます。床の清潔維持は日常のことなので、敷料は調達のしやすさが最優先です、その欠点は日常の作業で補えばいいという考えです。
バイオベッドという発酵床で飼われている方もおります。床にぶ厚く詰めた敷料(堆肥)上でヤギを飼育し、フン尿をその場で敷料と混合し発酵させることによって、ヤギの飼育とフン尿処理を同時に済ませるやりたかです。敷料は、年に一度、重機で収集し、堆肥として売却するそうです。理想的ですが、特に夏場は臭いも出てくるので、常時、換気扇を回していました。また、飼養頭数や床の広さ、あるいは気温によって発酵の程度も変わってきますので、現実的に取り入れるには試行錯誤が必要と思います。
思いを馳せれば、そもそもヤギが野生に居た頃、行動を規制されることもなく、山野を駆け回っていたわけで、自らのフン尿で地面に汚れが堆積することもなかったでしょう。家畜として進化することで、その代償のように生活圏の汚れの問題が出て来ました。あの時代の環境に、ちょっとでも近づくように、そんなことを想像しながら、フン拾いにいそしんでいます。
採草の場所に杭などを打ち、ロープでつないで飼う方法を繋牧と云います。
手軽で、採草の場所を選ぶことができますが、事故も多いやり方なので、注意が必要です。ロープが杭や雑木にからまって、ヤギの首や四肢を締めてしまうのです。足が壊死したり、死亡に至ることもあります。当園から里子に出て行った仔ヤギが出会うアクシデントでも、繋牧がもたらすものが、病気などよりも多いというのが実態です。
① ロープがからまない繋牧器の工夫
・長さ40-50㎝の杭の頭に回転器具をつけて、ロープを繋ぐ。
・杭ではなく、廃タイヤを使うと転がして移動できるので、杭の打ち込み作業が軽減される。
・2本の長い杭にワイヤを通し、ワイヤ部にロープを通して移動できるようにする。
② からみ難いロープの選定
・軽量の(犬用の)ビニールリードは足などにからむと外れないので、事故のもとになる。自重でからみが外れるロープやチェーンを利用。
・ロープに水道のホース通すとからみにくくなる。
③ ナスカンや首輪の利用 ④ 繋牧する場所の選定と周囲の整理
・ロープの範囲に小枝などが落ちているとそれにロープがからまって回転できなくなってくる。またロープと杭の回転部に伸びた草などがからまって回転できなくなることもある。杭の周りの草を刈り、ロープの範囲の声だなどは除去する。
に配慮して行ってください。
繋牧などで採草の範囲を制限すると、毒草の誤食などの恐れも高まりますので、周囲を観察して、あらかじめ抜いてしまいます。
また、雨や直射日光を避けるため、簡易な屋根や木陰を用意しましょう。
ふだんの居場所から離しますとヤギが不安がります。複数のヤギを、お互いが見える範囲で繋牧すると落ち着きますが、ヤギのロープ同士がからまないように適切な距離をとることが大事です。
傾斜地や崖では、足を滑らせて首を吊ってしまうこともあるので、杭は傾斜地の下の方に設置するか、そういう場所は避けましょう。
可能な限り目の届く範囲で行い、そうでない場合はときどき様子を見に行くなどの留意が大事です。
つなぎ飼いの応用になりますが、リードでつないだヤギを自由に野山で散歩させて採草させるやり方もあります。散歩飼いと呼んでいます。
ヤギとのコミュニケーションを図ることができ、好きな草やそうでないものなどが、具体的に分かる実習にもなりますので、お薦めです。ただ、何時間でも食べ続けますので、人間の方が途中でギブアップしてしまいます。穏やかな天気で、時間に余裕のあるときにどうぞ。
放牧に必要な広さは、生えている草の質や量にもよりますが。ヤギ1頭あたり1.33aが目安と云われています。1aとは、10m×10mの面積です。
周囲に巡らせる牧柵には、木や金網のフェンスで固定する場合と、電気柵で簡易に移動できるものがあります。
仔ヤギのときは、ほんの小さな隙間からもぐり出てしまうので注意が必要です。畑のいちごなどが見事に食べられてしまったことがあります。仔ヤギのときから、牧柵の外に勝手に出ることを覚えると、脱柵癖がついてしまいますので、まずは抜けだせない牧柵づくりが大事です。
脱柵癖のないヤギは、うっかり扉を閉め忘れるなどて、外に出てしまったときでも、遠くには行かず、その周りをうろうろしています。(でも、いちごは食べます)自分の行動範囲を馴致させることが大事に思えます。
ただ、雄ヤギに関しては、特に発情期はメスを求めて彷徨しますので、意識的に柵を跳び越えようとしますし、場合によっては破壊しようとします。頑丈で.1.5m以上の高さの柵が必要と云います。
金網で牧柵を巡らす場合、斜面部などでは金網を二重にして隙間を埋めようとすることがありますが、複雑に重なり合った狭い網目にヤギの足などがからまって抜けなくなり、骨折を起こすことがあります。危険部位となりますので、注意が必要です。
電気柵は、杭打ちや電線張りが簡易で安価です。採草地のゾーンを定期的に変えていく場合などに便利です。
電気柵の線は物理的にはひ弱で、簡単にちぎることができますが、通電することでヤギに痛みを覚えさせ、次も痛いかも知れないという警戒をさせる心理・記憶をついた柵です。つまり、電気柵には馴致が必要で、まずはフェンス柵の内側に、狭い範囲で電気柵をつくって慣れさせ(覚えさせ)、然る後に本来の目的の場所に設置することが良いようです。
ヤギは、電気柵に対する学習能力が高く、一度触れて刺激を覚えると、以降、近寄ることはないと云われています。
電気柵は、結構、メンテンナンスが必要です。
電線に草が触れると、そこがアースになって電気が逃げてしまいます。一番下の電線が、地上から20㎝ほどですから、定期的な草刈りが必要になるのです。
最初に時間や費用がかかるが、恒久的なフェンス柵にするか、その逆のメリット・デメリットのある電気柵にするか、TPOで使い分けることが良いようです。
ヤギは余り水を飲まないと云われ、青草で水分も補給していることは確かですが、暑い夏場や乾草が主な季節は、吸い込むようにて飲水します。搾乳中の母ヤギにも吸水は大事です。綺麗な水を、いつでも飲めるようにしておきましょう。
小屋の中などの狭い範囲で、水桶を設置する場合は、その位置を少し高めにしておかないと、フンを落としてしまうことがあります。
ポリバケツを下げている方もいらっしゃいますが、角型の72㍑の漬物容器を重ねたブロックの上に置き、ここにたっぷりの水を入れて与えています。大容量なので、多少、ゴミが舞い落ちても、水の汚れを抑えることができるからです。
寒冷地では、冬場は水温も下がり、水桶も凍ることがあります。
気温-20℃で2℃の水の給与は、気温10℃の場合と比べてヤギの体の熱発生量が4割程度も増加するそうです。寒冷ストレスの一環です。
寒冷地の牛舎には、ヒーターつきの水桶も設置されていますが、当園は、年間を通して14-16℃を保つ井戸水を利用し、朝夕、交換することで対応しています。
Under Construction
Under Construction
ヤギは、いろいろなことに興味を示す好奇心の強い動物です。
木の皮を齧って食べるなども食性もあるので、小屋の板木などをすり減らしてしまうこともあります。忌避剤などもあるかも知れませんが、却って危険でしょうから、そのままにしています。ペンキなどを塗る場合は、天然原料のものが良いでしょう。
むしろ、怖いのは、異物を摂取してしまうことです。
異物(ポリ袋、紙袋、合成テープ、ひもなど)を誤って食べてしまうと、胃から腸のどこかで詰まってガスが発生し、なにも食べず、座ったまま動けなくなります。紙類についても、多くは天然の植物繊維ではなく、有害物質を含む化学合成物質なので消化されません。
こうなりますと、数日で死んでしまうことがあり、手当の手段もありません。
ヤギの行動範囲に、このような異物を取り入れないことが非常に大事です。
気をつけているようでも、私たちの身の回りは、プラスチック製品などで溢れており、なにげなくヤギ牧場などに持ち込んで使ってしまうことがあります。
例えば、ここは寒冷地なので、井戸の水道管を凍結防止のために、保温材を巻き、その上をテープで固定しています。このままですと、ヤギたちがやってきて、バラバラにちぎって、呑み込んでしまう恐れがあります。そうならないよう、更にアルミテープで防護します。
小屋の隅に、交換用のモミガラを袋に入れて保管しています。この袋は丈夫ですが、使い込む内にほつれて穴が開きます。そこを強力な粘着テープでふさぎます。それを口の伸ばして引きはがします。首を伸ばしても届かない奥の奥に置く必要があります。
その他、なにかを縛るための麻縄や乾草ロールを保護しているビニール紐などなど。
きちんと意識していないと混入してしまうかも知れません。
もし電気コードがある場合は、口が届かないルートにしてください。感電してしまう恐れがあります。
聞き分けのない幼児のようですが、そのつもりでつきあってあげてください。
Under Construction
ヤギの餌は、粗飼料と濃厚飼料に大きく分けられます。
粗飼料とは草のこと。生草、乾草、サイレージに区分できます。茎葉を乾草させたものが乾草(干し草)、乳酸発酵させて貯蔵性を高め、塩抜きの漬け物のようにしたものがサイレージです。繊維質をふんだんに含み、エネルギーやたんぱく質は少ない飼料ですが、草食動物であるヤギにとっては基本の飼料です。栄養源となるだけでなく、消化機能を安定させるため、生理的に必須の飼料です。
濃厚飼料とは、穀類(とうもろこし、こうりゃん等)、大豆油粕、糠(フスマ、米 ヌカ等)等のデンプンやタンパク質含量が高い餌です。エネルギーの供給源として重要です。
大事なことは、主役はあくまでも粗飼料であるということです。
その理由は、Q201にあるルーメンの働きを知ると良く理解できる筈です。
濃厚飼料は消化しやすいので、どんどん分解され、ルーメン内で酸を組成します。反芻をうながさないので、ルーメンの酸性化をとめる、唾液が送り込まれません。微生物が弱ってしまい、消化能力が低下していきます。
濃厚(配合)飼料の与えすぎに注意しなさい、ということは、こういう仕組みのことを云っています。
年齢や性別、季節により異なりますが、濃厚飼料1に対し、粗飼料が3~7という重量比が目安になります。
それでは、どういう与え方が良いか、と云いますと、実にさまざまなのです。
ヤギ飼いの方と、お話しますと、餌の与え方にも、ひとりひとりの考えや事情が反映されています。
放牧させて、生草中心でやっている自然派の方。生草や配合飼料は与えず、乾草とヘイキューブでやっている安定志向の方。配合飼料を適宜混ぜて与えているバランス型の方。その中でも干し草と配合飼料を混合させて与えている方などなど。なにかが絶対の正解というものではありません。
人間の食事同様で、地域や環境、そこで入手し易い餌の範囲などもいろいろでしょうから、栄養に関わる勉強をしながら、試行錯誤して、ベターな解を探せば良いと思います。。
まずは、こんな上げ方をすると体調を崩したり、病気になる、というNGを、きちんと理解することが大事だと思います。
ヤギは、牛やヒツジとともに4つの胃を持つ「反芻動物」です。
この反芻動物の食事を管理する上で、とくに一番目の胃であるルーメンを理解することが、とても大事です。
ヤギを健康に飼うということは、ルーメンを丈夫に育てるということだと云われます。そこには、微生物の大活躍があります。
ルーメンは、反芻動物を支える、巨大な発酵タンクなのです。
粗飼料や濃厚飼料という餌の扱い方を、このルーメンという胃袋の存在と働きぶりを通じて説明します。
植物には、セルロースなどの繊維質があります。
ヤギはこれらの炭水化物を消化してエネルギーに変えています。
ところが、人間もそうですが、実はヤギも、自身は、繊維質を分解する酵素を持っていません。それを行うのは、ルーメンの中に棲む、細菌をはじめとしたさまざまな微生物なのです。この微生物が、セルラーゼというセルロースを分解する酵素やその他の何種類かの酵素を持っていて、消化を助けます。
一度飲み込んだ食べ物を再び□の中に戻して再咀嚼(反芻)するのは、植物の繊維を細かく破砕して微生物が付着しやすくようにするためです。
反芻の大事な役割が、もうひとつあります。それは、ルーメンへ大量の唾液を送り込むことです。
ルーメンの微生物が餌を分解する際、酸(酢酸、酪酸、脂肪酸)を組成します。ところが、微生物は酸性に弱いものがほとんどなのです。
ルーメンのpHは通常、中性から弱酸性ですが、酸がたまりすぎてpHが酸性に傾くと微生物たちは死にはじめます。
※この状態を「ルーメンアシドーシス」と云います。アシドーシスとは“酸性状態にある”という意味です。
これを中性に戻していくのが、唾液なのです。ヤギの唾液はアルカリ性だからです。
ですから、どんどん反芻してもらうことが良いのですが、その反芻をうながすのが、繊維質を豊富に含む粗飼料なのです。繊維質は、堅いルーメンマット(ルーメンの中央の層にできる大きな飼料片のかたまり)をつくり、このマットがルーメン壁を刺激して反芻をうながします。反芻は胃壁の刺激への反射なのです。
これで弱りかけていた微生物も甦ります。素晴らしい仕組みですね。
粗飼料をたくさん与えることにより、ルーメンマットが形成され、反芻がうながされます。その結果、ルーメン内の環境が程良い状態で、消化が進むのです。栄養価が高く、好物だからと言って濃厚飼料を過剰に与えると、どんどん消化が進んで、ルーメンが酸性に傾いたり、ガスがどんどん発生するにも関わらず、反芻がうながされないので、いつまでも正常に戻らず、病気になってしまいます。
ルーメンと反芻と微生物の仕組みを理解すれば、餌の適切な与え方も自ずと理解できます。
反芻の様子を見るのはなんとも言えません。
反芻するときのヤギの穏やかな表情は、こちらも幸せにしてくれます。それもその筈で、反芻はヤギが健やかである証しなのです。
乾草を入手する方法は、3つあります。
① 酪農家の方やJAなどから購入する
② 河川敷での刈草の無償提供を受ける(国交省)
③ 自分でつくる
当牧場は①。近所の酪農家の方から、随時、譲ってもらいます。もちろん有償となりますが、品質や保存状態が安定しています。
価格は1ロール(直径1.3m程度)で8,000~10,000円(税抜)というところです。2匹で、2-3ヶ月でひと巻きを消費するくらいと思います。
②は「国交省 河川敷 刈草 ○○(都道府県名)」で検索すると、所掌の窓口が検索されます。また、一度利用すると毎年、通知いただけるようです。引き取りにいく必要がありますが、無償です。品質や乾燥状態は、年ごとに、あるいはロールごとにまちまちです。
③は、時間とやる気のある方には面白いと思います。他に主業のある個人の方が、一冬分をこれでまかなうのは、相当たいへんで、現実的ではない気がします。
耕作放棄地の雑草を利用したサイレージの作り方は、こちら↓です。この方法であれば、(量的に)嫌気発酵のものを適量与えることができそうです。
http://www.nlbc.go.jp/nagano/kachikubumon/yagi_gujyutsujyouhou/yagi_silage/
乾草には、一番草、二番草、三番草があります。
みな、同じ草です。刈り取る時期の違いでそのように区分けしています。
一番草は冬から春の長期間かけてじっくり育ちますので、ちょっとかためです。特徴として穂が入っています。
二番草は一番草を刈り取った後、短時間で伸びるのでやわらかめです。
三番草は、さらにその後、秋になって刈り取るフサフサの柔らかい草です。
野草>一番草>二番刈りチモシー>ニ番草>三番草 というようにかたさが違います。
一番草と二番草では、一番草の方が栄養価が高いと云われています。
三番草は、栄養価はまずまずで繊維分が少ないのが特徴です。
泌乳量や質が、ご自身の生活に直結する酪農家の方には、きちんとした栄養管理が求められますので、使い分けが大事になります。しかし、ヤギの場合は、そうではない方がほとんどでしょう。ヤギの健康維持が主目的であれば、神経質になることはありません。一番~三番の使い分けよりも、乾燥状態が良く、雨などに当たってないもの、つまり、食いつきを基準にすれば良いと思います。いくら一番草でも、乾燥が甘かったり、保管状態の悪いものは、湿潤な季節に、カビ臭が出てきたり、栄養価も劣ります。
良い干し草は、ほぐしていくと芳しく、屋根裏部屋でそれをベッドにしたハイジの気持ちが分かるような気になります。嗜好性も高く、ヤギは夢中な表情で喰いつきます。そういうものを、与えて行けば間違いないでしょう。
チモシーの一番草は、茎のところがヤギには固くて、食い残しがでます。近隣の複数の酪農家の方がいれば、それぞれを取り寄せてみて、いちばん適しているものを選んでいけば良いと思います。
・配合飼料をたくさんあげる
・マメ科の植物や穀物、果樹などを大量に与える
・干し草から生草にいっぺんに切り替える
・葉物などの野菜を大量にあげる
・空地の雑草を無作為に刈り取ってあげる
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すべての動物にとって塩は、ナトリウムというミネラルのひとつを摂取するために大切な栄養です。
食塩でも大丈夫ですが、いつもで必要な量を自由に摂ることができるよう「鉱塩」という塩と糖蜜などを混ぜて固形化したものを常設します。5kg*4個入りで、JAで購入できます。
野生の象や鹿、牛などの草食動物は、塩分を含んだ塩泉、沼地にある「塩なめ場」を求めて、平原に群れをなして移動していきます。
未開の土地アメリカ大陸に移住した白人たちは、まず塩を確保するのに、野牛のバッファローの群れの「塩なめ場」の通り道をたどって塩湖や塩泉を発見したといわれます。
ミネラルのひとつにカリウムがあります。
このカリウムとナトリウムをバランス良く摂ることが大事です。
体内の水分バランスをコントロールする役割を持っているからです。
ナトリウムは、細胞の外液に多く含まれ、カリウムは細胞の内液に多く含まれます。
カリウムが不足すると、ナトリウムが水分と一緒に細胞内に入るので、細胞が水ぶくれの状態となり、血管を圧迫し血圧が上がります。
カリウムには、ナトリウムを体外に排泄する働きもあるので、血圧を下げる働きがあると言えます。また、カリウムは、神経系や循環器系の機能にも重要な働きを持っています。
植物に塩を与えるとしおれてしまいます。つまり、ヤギの主食である植物に塩分はほとんどありません。
カリウムは、とくに青草に多く含まれます。青草をたくさん食べる、夏場などはとくに気をつけて補充しましょう。
結構ひんぱんにペロペロ舐め、ときにガリガリ齧って「舐塩」します。
ウェブで検索すると、いろいろ情報が得られますが、毒を持っている植物は、あげるときりがありません。
ヤギは、青草を食べるとき、ひとつひとつ嗅ぎ分けて食べます。
毒を持つ草はヤギにとってもまずいらしく、口にすることを避けますので、実際のところはそれほど神経質に考える必要はありません。
放牧場内にスイセンなどが自生していますが、除去したりせず、そのままにしています。とくに問題になったことはありません。
ただ、刈り取った青草をあげる場合、その中に混在したり、繋ぎ飼いのリードの範囲に毒草があったり、餌不足でお腹をすかせていると、誤食の可能性があります。誤食を避けるために、刈り取り場や繋留場の毒草を事前にチェックして、抜き取るようにします。
常緑の園芸樹木には有毒なものが多くありますので、行動範囲から取り除いておくと安心です。また、街路樹や垣根にも有毒な樹木があり、その枝葉がヤギのエサに混入しないように注意しましょう。
毒にあたると、元気がなくなり、口から泡を出したり緑色のかたまりを吐き出したりすることが多いようです。獣医さんに早目に診てもらいましょう。
ミルクや卵白、スポーツドリンクを飲ませることが応急処置となります。
また、もうひとつ怖いのが「硝酸体窒素(硝酸塩)中毒」です。
植物は栄養分の窒素を硝酸塩に変えて吸収して、成長します。堆肥(たいひ)などの窒素肥料を多給すると植物内に硝酸塩がたまり、濃度が上がります。この硝酸塩が動物の体内に入ると、健康に害を及ぼす物質に変化するのです。急性硝酸塩中毒は、ヤギや牛など胃を4つ持つ反すう動物に特徴的な症状と云われます。
2016年の冬に、佐賀市内の小学校で飼育していたヤギ3匹が亡くなった事故があります。原因は、餌の野菜くずに含まれていた硝酸塩の体内蓄積による中毒死でした。スーパーから譲ってもらった白菜やキャベツばかりを、数日間、大量に与えてしまったようです。
野菜(くず)は、おやつ程度に考えて与えてください。
落ち葉の季節になりますと、海苔のようにパリパリと好んで食べます。落ちて間もない、新鮮な(?)枯れ葉は好物のひとつです。
枯れ葉、とくに茶褐色のものには、タンニンが含まれています。これが、「抗菌作用」や「殺菌作用」をもたらすようです。
落ち葉や木が倒木すると、川の水質が「ブラックウォーター」になると言われます。タンニンやフミン酸という成分が溶け出すことでつくられます。
このブラックウォーターで飼育している魚の病気や感染症のリスクを大幅に軽減できることでも知られており、熱帯魚飼育でも、マジックリーフなどの枯れ葉を用いたり、水質調整剤で意図的にブラックウォーターを作り出すことがあります。
飼育の基本は「健康」ですから、枯れ葉食いも、この健康維持に役立っているのかも知れません。
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