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農園リストランテ

08.衛生的に飼う

ここに当牧場のガイドライン(のようなもの)をご披露します。
飼養管理衛生マニュアル(図面・写真)
飼養衛生管理マニュアル
日頃、私が行っている作業や衛生具などの配備状況をまとめたものです。「飼養衛生安全基準」に添っていないところもあります。現実に私ができ、また牧場の衛生を護るということとの両立を第一にしてつくりました。清掃作業の内容にまで踏み込んでいるところもあります。参考になれば幸いです。
定期報告例(6頭未満の場合)
小規模1
小規模2
定期報告例(6頭以上であれば、こちらも必要になります)
6頭以上1
6頭以上2

基本的に、私は「衛生」を徹底して心がけています。
その思いは、ヤギを飼う当初からのものでした。レストランに併設しているため、牧場臭が一切しない牧場、であることをスローガンにしてきました。
象徴的な作業が「フン拾い」。

毎朝、毎夕、小屋の床やパドックに落ちたフンをきれいに拾い集めます。拾ったフンが溜まったら堆肥場に持ち込み、1年ほど完熟させて、畑に戻します。食べこぼしの干し草なども掻き集め、焼却します。雨に濡れますと腐敗を起こし、臭いや蠅の発生源になるからです。
これを毎朝、毎夕繰り返してきました。雨が降ろうと風が吹こうと、吹雪や台風などの大荒れの日でもやってきました。季節や天候、飼養数にもよりますが、日に最低4時間はヤギの世話に時間を費やします。その8割方はフン拾いなど、掃除の作業です。
ヤギのフンはコロコロで臭いも強くありません。ただ、それを放置すると、雨などに濡れ、人やヤギに踏まれ汚染源になります。汚れのもとになる要素を早期に取り除き続けていくということです。
ヤギ小屋の敷料は「モミガラ」を使っています。地域柄、いつでも無償で好きなだけ入手できます。つまり汚れを感じたときに適機を逃さず交換することができるからです。
飲み水は井戸水をバケツに垂れ流しし、いつでも新鮮できれいなものを飲めるようにしています。
干し草を首だけ突っ込んで飽食できるように設計しています。この干し草小屋にヤギが入り込んで汚すことはありません。
配合飼料は、別棟の小屋でコンテナに入れて保存しているので、盗み喰いや鼠の侵入などによる汚染の心配はありません。
鉱塩は、壁面にバスケットをくくりつけてその中に置いており、いつでも自由に舐めることができます。床に直置きすることはありません。
蠅や蚊、鼠の侵入を避け切ることはできませんが、周辺に水溜まりなどができないようにし、臭気や不衛生なもので寄せつけないよう注意します。また、侵入してしまったものを捕捉したり、殺虫するように努めます。
毎日の世話の時間は「観察」の時間でもあります。様子に変なところがないか、フンの状態や食欲はどうか、などをしっかり観ています。
こういうことなんです。きれいな環境を保ち、適切に餌や水をあげ、しっかり運動もさせる。日々の観察を怠らない。
私にとって、衛生管理とは、愚直に基本作業をやり続けることに他なりません。

勘違いしがちですが最初に法があるわけじゃない。
最初には人がいて、ヤギがいて、そこに飼うモノと飼われるモノという関係があります。その関係が健全であれば、本来、法は無用です。ただ、その関係が不健康で、人の社会に悪い影響を及ぼすと困ります。そこで、飼うモノと飼われるモノとの関係を規定する法が生まれた、ということなのではないでしょうか。
私は自営業なので、融通を効かして時間を使うことができます。本業のレストランと自宅と牧場が同じ敷地内にあるため、移動ロスもありません。ただし、私の牧場の環境は理想的とは言えません。だからこそ、そのハンデを作業で補おうと思っています。
私のように時間を割けなくとも、ヤギをきちんと飼っている方はたくさんいます。
大体は、定期的に日を定めて掃除しているのではないでしょうか。私の知り合いに畜舎を発酵床にして、一年かけて堆肥をつくり、それを販売している方もいます。良いアイデアだと思います。ただ、臭気は立ちます。

それぞれの事情に合わせて、最適な衛生のあり方がある筈です。100人居れば100通りのやり方があります。「飼養衛生安全基準」とは、自分の行っている行為と衛生の実現とを照らし合わせる教科書のようなものです。ギャップがあれば、隙間を埋める工夫をすれば良いのです。
6項で、ヤギを飼う時点で行政機関に届け出る義務があります、と書きました。なにかと面倒なことになるので無届けで飼っている方もいらっしゃいますが、私はきちんと届け出た方が良いと思っています。行政や家畜保健所の方を法令や報告物を押しつける存在と思わず、相談すべき相手だと私は考えています。素人判断しないこと。病気のことを獣医さんに相談するのと同様、衛生に関することは専門家に相談しましょう。
客観性のある「基準を持つ」ことが実に大事です。基準があり、意識のある牧場は、そうでないところと明らかに違います。ヤギの体や床を見ると一目瞭然です。残念ながら、ヤギに触るのをはばかられ、床から湿った臭気があがってくるような状態の牧場もあります。客観的な衛生基準がないために、漫然とした作業になり、その日常が基準になってしまう。病気や事故を出してしまうのはそういうところです。

先日、SNSのヤギグループで、伝染病であるヨーネ病を自牧場で発生させてしまい、大多数のヤギを殺処分してしまったこと、そして家畜衛生保健所の指導のもとで消毒や浄化を徹底的に行った、という情報がアップされていました。その方がとてもヤギを可愛がり、精一杯世話をしていたことは伝わってきます。しかし、掲載された写真で床などの様子をみるとやはり衛生的な環境からかけ離れています。きっとその日常が基準になってしまい、衛生を保つというレベルはなにかということまで客観視できなかったのだろうと思います。ヤギの数も多かったので、どこまで手が回っていたものか。処分によって一旦減ったヤギの数が、しばらくして戻ってきています。せっかく改善した衛生レベルをこれからも保持していけるのか。一番必要なのは、適正な飼養数までヤギを減らす勇気なのかも知れません。

これからヤギを飼おうとする方は、複数の牧場を観て回り、その「基準の大切さ」をまずは肌で感じとって欲しいと願います。

<掃除を邪魔する肩乗りヤギ>

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