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農園リストランテ

17.思うとおりにはいかないもんだ

ヤギを飼ってみようと思い立ってから、いくつかの準備をし、いざ飼い出してから紡ぎ出されて来た物語を振り返ってきました。
こうしてみると、思いどおりにいかなかったことばかり。ああすれば良いとか、こうしてみようという考えでやってきたことは大体がそのとおりにはなりません。
まずもってヤギは破壊魔であります。ヤギ小屋の柱は囓るし、薄い木板や波板などで気になるところは頭突きを根気良く繰り返して、いつの間にか壊します。
ネズミ捕りの粘着シートを仕掛ければ一番先に決まってヤギがかかります。ハエの誘引器など、届くところにあるもので、ああこれ、大丈夫かな、と思うものは、決まって大丈夫ではありません。フンを拾い終わってせいせいしていると目の前にやってきて、ポロポロ落とし物をしていきます。ありとあらゆるイタズラをしでかすのがヤギという生き物です。
牧柵を破って、外で悠々と散歩を楽しみ、放牧地の草はあっという間に食いつくして裸地になります。慌てて牧草の種を蒔いています。
100人居れば100通りの飼い方がある、と云いましたが、その100人が揃って言うことは、これじゃあ、飼っているのか、飼われているのか分かんないよ、でしょう。

ただ、振り返ってみますと、不思議なことに「飼って良かった」としか思えないのです。きっと大きな病変や事故に見回れず、健康体のヤギたちと一緒に暮らすことができて来たからなのだと思います。だから、とても幸せな気持ちになれます。
病気や事故の多い牧場であれば、きっとこうならないでしょう。

これまで書いてきたことはどれも基本的で大事なことですが、難しいものではありません。誰でもできることです。「想像」「観察」「学び」を働かせて、その誰でもできることをやってください。
当たり前のことですが、ヤギは私たち人間とは異なる動物です。ヤギたちが快適に暮らすためにどういう環境をつくり、どういう栄養を与え、どういう衛生方法で飼っていけば良いのか、「想像」し、「観察」し、「学び」を積み重ねてください。日々なにをし、定期的になにをし、いざというときにどうすれば良いのか、考えてください。ヤギを可愛がるということは、好物を与えて甘やかすことではなく、地味な毎日の世話をきちんと続けることです。
SNSのヤギ飼いグループでは、病気になってしまった、亡くなってしまった、という投稿が存外に多くあります。心が痛みます。先天的なものもあって飼い主の責任とばかりは言えませんし、生き物に生死があるのは、やむを得ないことです。しかし、防げられたと考えられるものも多くあります。

私は白髪頭の爺さんです。ヤギの世話をしていますと、作業着に白い毛がつくことがあります。あれっ、これ、俺なんだろうか、ヤギなんだろうか、と見分けがつきません。「想像」と「観察」と「学び」とが、その白い毛に凝縮されています。

<捻挫の治療>

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