ヤギは、丈夫で粗食にも耐える動物です。
庭の花や木に例えると、それほどの手間をかけなくとも、花を咲かせ、実をつける種であると言えます。ただ、良い土をつくり、適切に施肥し、剪定などを行ったものに、立派な花やおおぶりで甘い実がなるように、良く飼おうと思えば、相応の手間がかかります。
飼養環境にも大きく影響されます。飼養の頭数や目的によっても変わります。繁殖させず、広く柵に囲われた放牧場があって、湧水もあり、適度な広さの小屋があれば、手間をかけずに飼うことができそうです。
当園は、そういう環境条件ではなく、仔をとっており、レストランに併設した立地でもあるため、衛生には人一倍気を配り、毎朝・毎夕、一日に数時間は世話の時間を費やします。それは、雨風や吹雪に関わらず、年に一日も欠かさない作業です。
どのようにヤギとつきあっていきたいか、という思いと、どれだけヤギにつきあっていけるか、という現実とのバランスが大切です。時間の余裕のない方が、不十分な環境で多頭飼いすると、衛生や栄養管理などが崩れ、不幸なことになるばかりか、周囲に迷惑をかけてしまいます。
ヤギを飼う理想的な環境をお持ちの方は多くはいませんので、例えば湧水がなければ、毎日、桶の水を交換することになります。放牧場があっても、雪国であれば冬場の干し草を確保しなければいけません。
水を交換することや、干し草を用意することは手間のかかることです。手間をかけると、その分、ヤギたちと一緒に居る時間が生じ、そこに観察があったり、コミュニケーションができたりします。手間をかけて、時間をかけ、自分がヤギを飼っているのか、ヤギに飼われているのか、ときどき判らなくなります、しかし、実はそれが楽しいひとときである、それがヤギ飼いの冥利なのかも知れません。
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