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農園リストランテ

25.12.16 若いメスヤギの死

人工授精の用具一式を仕舞った。一式、と言ってもシリンジやシース管、ステンレスコップなど両手に持てるほどに過ぎないのだが、どれも年に一度数回しか使わないものである。ない、と困るものでもある。また来年、ですね。
昨春の里親さんから電話があり、そのときのメスヤギが昨朝、亡くなったという。経過を聞いても死因など特定はできないが、低栄養であった可能性があると思える。いずれ若いヤギが亡くなるのは痛ましい。この里親さんは私の高校の先輩であり、努力して大学の教授を務めた信念の方である。ヤギはありのままが良く、そういうこだわりのもとでヤギを飼い、あるいは暮らしそのものを送っている。例えば角に関しても生えてくるものならば、除角などせず、生えるままにすれば良いという考えの方である。私の考えも説明して、結局、除角した子ヤギをお渡ししたのは、その方が圧倒的に扱い易いからである。
ヤギは家畜だから人の都合の良い方向に進化してきた。ならば、なぜ無角のヤギに改良しなかったのか。ヤギにも無角の個体はいるから、無角のヤギを増やして行くことはできる筈である。ところが、無角の遺伝子を増やそうとして無角同士を組み合わせると「間性」の子ヤギ、すなわち繁殖能力のないヤギが生まれてくる恐れがある。有角のヤギにそういうリスクはないので、無角化を進められなかったというのが理由である。それでも角のない方が扱い易いので、除角を行うわけである。つまり「家畜化」と言っても、人間の及ぶ力はごく限られているのである。本来、有角であるヤギを除角するのは、人間の都合にヤギを寄り添わせる行為だと言って良い。無角にしても、有角にしても、有角のものを除角するにしてもかならず背景、あるいは理由というものがある。一番肝心なことはそれを学ぶこと、理解することだと思う。
栄養や衛生管理、運動というものは人の考えや都合をヤギに押し付けて良い領域のものではない。人間側の信念などはどうでも良く、人がヤギという動物の生理に寄り添うことをあくまでも求められる。
ありのままに育てられたメスヤギの短い一生は幸せだったのだろうか。ヤギは「自然」なものだから、自然に育てるのが一番良いという考え方は正しいのだろうか。自然、あるいはあるがまま、という耳障りの良い言葉に惑わされてはいけないと思う。信念というものが却って邪魔になることもある。人間、そしてその人とともに暮らすヤギ。その距離感。むずかしいもんだなあ、と感じた一本の電話であった。
今日のヤギ時間:トータル4時間

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