つい数日前まで半袖で額には汗をかいていたのに、今日は長袖の上にウインドウブレーカーまで羽織っている。この町に移り住んでから、いつも「季節の扉」を感じる。春夏秋冬ごとに季節の扉が開かれる瞬間を感じるのである。ある日突然、あっ春が来た、と例えば思うのだ。扉が開いたり、閉まったりする音も聞こえそうだ。人新世時代の異常気象と言われながら、それでもこうして四季が廻る。そこに幸せを思うのは、私ももう歳だということだろうか。
急に寒くなったからか栗がボタボタと落ちる。なにも世話をしていない普通のヤマグリだが、蒸して食べると非常に美味い。ほとんどヤギたちにあげてしまうが、大ぶりのものは自宅に持ち帰る。いつも不思議に思うことがある。落ち栗はなかなかみつからないのに、ひとつみつかると次々に目に入ってくるのは何故だろう。落ちた栗のすぐその隣に別の栗が落ちている、ここにも、あそこにも。私は栗目現象と呼んでいるが、つまり視神経が栗を発見することに馴れるからなのだろうか。不思議だ。
今日も白鳥の群れが渡ってきた。何群も。渡りのルートを辿ればシベリアから直行するわけではなく、樺太、北海道、青森といったところを経由して何泊かしてやってくる。この白鳥たちも全部がここで越冬するわけではなく、宮城の伊豆沼などにさらに南下するものも多いだろう。いずれにせよ、季節が巡ってきた。
メッコの食欲はこの数日で戻った。良く食べられるようになった。良いときの95%という感じだろうか。今日までは薬の影響があるかも知れないので、念のために搾ったミルクを捨てているが、明日からは復帰させよう。
発情ということでいえば、相変わらず黒ヤギのルナが良く分からない。いつもと違う振る舞いはあるが、不規則なのでまったく予想がつかない。年齢的に恐らく今回が妊娠の最後のチャンスだと思う。健やかな余生のためにも有終の美を飾って欲しいのだが。
これから日もどんどん短くなる。今は日没が5時頃だろうか。どんどん短くなってもう直、4時過ぎには暗くなる。こういうときは良く寝るに限る。
今日のヤギ時間:トータル3時間
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