朝落ちていた小雨が昼頃から本降りになった。少し蒸し蒸しするが、こうして秋が深くなっていくんだろう。
ヤギたちに発情の気配はない。正確に言うと人間の私には分からない。こういうときは、オスヤギになりたいものだが、そうはいかない。根気良く観察していこう。
私の牧場でとれるミルクの利用について、先日優先順位などの考えを書いたが、量の観点で言えば9割方はペットフードの会社に卸される。Oさんが経営するAという会社だが、秋田産の食材にこだわり、ほとんどの原材料を県内から仕入れ、それをペット用に加工して販売している。ヤギのミルクでつくったジェラートなどもある。イヌネコと言えば、残飯で育てることが常識という時代に育ったので、そのペットにジェラートというのだから隔世の感がある。
そのOさんにとってヤギのミルクは鬼門であった。秋田産のものがない。やむを得ず高知や愛知から取り寄せていたが、しかなる上は秋田で自分がヤギを飼ってミルクをとるしかない、と思い至った。そこで子ヤギを譲ってくれないかというオファーがあったのである。4-5年も前のことだ。それは実現し、今、OさんのヤギはA牧場さんに委託飼養され、もう10匹は超えたのではなかろうか。
あるとき、私のところのミルクをサンプルでお渡しした。それを試飲されたところ、合格だったらしい。卸してくれないかという連絡をいただいた次第である。ミルクの安全性や質に関しては私も自負しているが、生産量を増やしていくつもりはない。それでよろしければ、ということで取り引きが始まった。それでも今のところはA牧場さんでの生産量よりはかなり多いようだ。両横綱揃い踏みのお陰である。
ミルクに無駄を出さず、また、子ヤギも里親さんが現れてくれる。ヤギを飼ってミルクをとろうというのは、世間知らずの酔狂で始めたようなものだが、手を抜かずに続け、いくつかのご縁もあってこうしてここまで来れた。お陰さま、です。
今日のヤギ時間:トータル4時間
Copyright © 2016 Farmer's Ristorante herberry All Rights Reserved.