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農園リストランテ

25.09.08 ヤギと人6

今年は暑さのせいなんだろう、アメリカシロヒトリ(以下、アメシロ)が大発生している。たまらず業者にお願いして薬を撒いた。私たちが移り住む前から立っていた古木が特に酷く、すっかり葉を落として冬の木の風情になってしまった。私たちが移り住んでから植えた木にも被害は出ているが、総じて老木ほどひどくはない。なんでも、若い木はアメシロなどにやられると防御のために忌避成分を出すのだそうだ。虫や蛾がそれを嫌って寄りつきにくくなるので、壊滅的にはやられないのだと言う。それで思い出したのが、東方美人という台湾の烏龍茶である。ウンカにわざわざ吸液させてこの忌避成分を誘発させる、そうするとコクのある茶葉になるそうだ。だが、加齢とともにその機能は弱まってしまい、だから老木はひどくやられてしまう。なんだか我が身が冒されるようで切ないね。
さて、「ヤギと人」というテーマがシリーズのようになつているが、人と関係するのは、なにも生体ヤギとは限らない。ヤギのミルクと人との関係もまた興味深い。今回はそちらの話しをしたい。
ヤギミルクからバターをつくり、自分で育てた小麦を挽いてクロワッサンを焼きたい方(以下、ヤギバターさんと呼ぶ)のことはいつぞや書いた。無邪気な動機ではあるが、そういうものにこそいろいろな可能性があると思うので、ご協力している。その方が大雨で崩れた砂土のどかし作業に駆けつけ、その対価としてヤギミルクをお渡し、実験してみることになったことも書いた。その続きである。
結論から言うと、実験は失敗だつた。惜しい、というものではなく、まったくダメだった。実験の内容は、ヤギのミルクを冷蔵庫で2-3日静置し、ホエーと分離した上澄をすくって冷凍保管する。この上澄が生クリームであり、これを繰り返して溜めていく、溜まったら撹拌器でかき混ぜてバターにする、というものである。その上澄が一向に取れなかったである。
レシピがおかしいか。
やり方がおかしいか。
ミルクがおかしいか。
レシピは現に成功している方のものだから、間違いない(筈である)。
やり方は単純明解で間違えようがない。
ということは、消去法としてミルク?それしかないのである。
ミルクそのものがおかしいことはないと思いたい。もし、そうなのなら、この話しはふりだしに戻って迷宮入りとなる。では、殺菌の方法?私は搾乳後、間髪入れず数分で殺菌に入る。65℃で30分。温度が均質になるよう撹拌する。30分経ったら、容器ごと氷水に浮かべて冷却、その後、用途に応じて冷蔵、若しくは冷凍で保管する。定期的に細菌検査や成分分析も行なっている。レストランでお客さまにお出ししているものなので安全には徹底して気を配っているのである。だからこそ、絶対的な自信もあるのだが、体感的にも確かに上澄が出るような感じはしない。なにか、別の殺菌方法を試してみる価値がある。
ヤギバターさんと協議。次回は私から無殺菌の原乳をお渡しし、ヤギバターさんの方で2つのパターンで試してみることにした。いろいろやってみよう。
この活動、このように順調というわけでは決してないが、いずれ結果を出せそうな感じはしている。発案者とヤギ飼いとヤギミルクという三味が既に一体となっており、ピースが揃っている。あとはどうやってはめようか、という問題だからである。発案者のめげない探究心や諦めない行動力は素晴らしい。遠からず、ヤギバターと自家製小麦粉で焼いたクロワッサンを頬張れそうである。その先にあるものも楽しみだ。
今日のヤギ時間:トータル 4時間30分

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