この一週間は厳しい残暑だそうだ。まだまだ暑い。この数年、秋がはっきりせず、失われた季節のようになってしまった。今年はどうだろうか。
去勢オスの経過は順調で、さすかに昨晩は術部が痛い、痛いと泣いていたが、随分柔いだのか今朝から盛んに外に出たがっている。食欲もモリモリ。明日午前までは隔離を続けるが、大丈夫そうでひと安心である。
Mワイナリーさんに下旬にはお渡しできるだろう。子ヤギが去った牧場は祭りの後のような寂寥感があるが、いよいよ本格的に搾乳が始まる。
今、親ヤギは4匹で、うちこの春に出産したのは2匹だから、搾乳はこの2匹からである。たった2匹と思われるだろうが、合わせると日に10リットルも泌乳するスーパースター同士で、10リットル搾るのはそれなりに骨の折れる労働である。
牧場に来られた方に、お乳搾りをやってみたいですか、とうかがうとやりた〜い!、という声が圧倒的にあがる。その声に応えるかたちで何度か体験会を開いたことがある。コツを教えても、いきなりは上手くいかない。額に汗かきながら悪戦苦闘しているうちに、チューっと真っ白な一筋のミルクが搾れる。歓声があがる。感動の瞬間である。
ヤギにとっては、どうやら迷惑らしい。「手が馴染む」というが、飼い主には毎日の作業なので手がスッと乳房に伸びて、それがベストポジションである。手の位置や角度など、実は一匹一匹違う。右と左でも違うし、乳房の張り具合でも違う。これを瞬時でやるのだから我ながら凄いと思う。自分にではない。人間とは凄いもんだと思う。馴染んだ手でやると手際が良いのでヤギも率先して搾らせてくれる。だが、それ以外の手は嫌がる。足をバケツに突っ込んだりしてひと騒動になる。
どうやら、乳搾り体験は、やりたい「人」を優先するか、迷惑な「ヤギ」をおもんばかるかということのようだ。私の信条はヤギファーストなので、結果、滅多なことではやっていない。これを解決するには、乳搾りを迷惑ではないと感じるヤギを育てるしかないんだろうと思う。人との壁を持たない「観光ヤギを」である。
こういうヤギは産まれて早々、親から引き離し人工哺乳で育てる。人を親だと思うのでとても人懐っこくなる。こういうヤギがいれば良いと思う。しかし親と子を分離して育てる環境づくりだとか人工哺乳の手間だとか、相当に負荷がかかつてくる。飼い始めの10数年前ならともかく、もうできないな、と思う。
この牧場は搾乳を目的にして運営している。
ヤギたちは温厚で、人馴れしており、人を攻撃したりすることは絶対にない。
それでも人との間には距離があり、馴れた犬のように扱えるわけではない。
そのことを踏まえて接して欲しい、と、そういうことです。すいません。
今日の仕事を終えた頃の空はもう満天の星空。手を伸ばすと届くようだ。あの星座の名前がわかったら、どんなにいいだろう。いつもそう思い、いつまでもなにもしない。それでも今日も思います。あの星の名前はなんだろう。
今日のヤギ時間:トータル4時間30分
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