今日はオスの子ヤギの去勢手術の予定だったが、獣医さんのご都合で明日に延期された。そこで、昨日の続きを。
私はヤギのフンをこまめに拾っている。日に3時間もかけて、ひとつひとつつまんで集めている。特殊である。こういう飼い方をしている方はまずいないと考えてください。
私の牧場はレストランに併設している。お食事処である。そこに来られるお客さまを牧場臭でお迎えするわけにはいかない。臭いや衛生に人一倍気を遣っている、というのがフンを拾う理由である。その甲斐あって、臭いが一切しない。そういう観点では屈指の牧場だと自負している。
牧場臭は、堆積した糞尿や食い残しの餌などが微生物などの掃除屋によって分解され、一部が腐敗菌に浸かったことによって発生する腐敗臭がもとになっている。勝手なもので、人の都合に良いものを「発酵」といい、そうでないものを「腐敗」と呼んでいる。牧場はその両方が並行する、多様な微生物の宝庫であり、牧場臭はその副産物である。私はその副産物を避けようとして多様性を放棄していると言える。わざわざ時間と手間をかけて、ロストしているわけである。もっとも病原菌もその一員なので罹患のリスクは随分小さい。わざわざ時間と手間をかけるだけのことはある、と言える。
フンは市販の手提げの野菜カゴにとる。周りのモミガラや砂と一緒にすくい取る。網状になっているカゴで、ある程度たまったら、このカゴをフルフルと振るう。網の隙間からモミガラや砂だけが振るい落ちる、という寸法である、こうしてフンだけで一杯になると、更に大きなカゴに移して、これが溜まったら軽トラに積んで堆肥場に運んでいる。一年かけて完熟させる。この光景を見た方はみなさん、呆れる。なんて非効率なことをしているんだ、と。もっと工夫しろ、と必ず言われる。しかし、いろいろ試してもこの原始的なやりやたが一番良いのだ。
私の牧場は砂地なので、こういうことができる。山野の雑草地では無理だろう。ちなみに私は駆虫をしない。腰麻痺の予防は行うが、胃腸に寄宿する内部寄生虫のものは一切しない。発病レベルまでの寄生虫は私の牧場にいないという判断である。なかなか思い切ったことで、ヤギ仲間にはえっ?と驚かれる。これもまたフン拾いの福産だと思っている。
フン拾いの時間は健康チェックと観察の時間でもある。様子の変なフンがあれば誰のものかを特定し、経過をみていく。コミュニケーションの時間でもある。ヤギたちが入れ替わりで挨拶しにくる、まあ、私の様子をうかがいにくる。挨拶を返し、撫でてあげる。生き物は良く入れて、良く出していれば、まず大丈夫。フン拾い、結構貴重な時間なのである。
今日のヤギ時間:トータル4時間30分
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